実は私はシアター・ブルックのファンというほどではないのですが、ドラムが沼澤タカらしい、という不純な(笑)な理由で見に行ってきました。実際、彼らのアルバムは“TALISMAN”を聴いたことがあるだけなので、曲も“ドレッド・ライダー”と“ありったけの愛を”くらいしか知らなかったりする。
大して客は入っていないのだろう、と思って出かけたJUNK BOX
ですが、意外にも満員に近いくらいの客の入り。実は結構人気あるんだねぇ。
バンドはVo&G のタイジを中心に、メンバーのB とDJ
、サポートでエマーソン北村(Key)、沼澤タカ(Dr)というなかなか個性的な顔ぶれ。タイジは体調が万全ではなかったらしくて、前半はあまり声が出ておらず、PAから出てくる音の80%はタカのドラムの音ではないか?という状態で、バランス的には今イチな感じでした。まぁ、タカのドラムは強烈に上手いので、それはそれで気持ちいいサウンドではあるんですが。
このライブで一番凄い点は、新潟のライブハウスでタカの生ドラムが聴けた、ということに尽きるだろう。それではシアター・ブルックの皆さんには申し訳ないのだが、日本最高クラスのドラマーのプレイを目の前で見れたのだから、それはもう仕方がない。JUNK
BOX に出演したドラマーの中で史上最高なのは間違いないだろう。
ただ、そのあまりに完璧なドラミングと、シアターブルックという黒人音楽にルーツを持つバンドの音楽性との間に、私はギャップを感じていた。
考えてみれば不思議な編成のバンドだ。ルックス的にもジミヘンから続くファンク・ロック直系と言えるタイジとベーシスト。バリバリのスクラッチとサンプリングでクラブミュージックの空気を持ち込むDJ。それをサポートするのが、一流のスタジオミュージシャンであるキーボードとドラム。どこかちぐはぐな感じがしないだろうか?
僕はタカのドラムは好きだけど、このバンドには「テクニックはイマイチだけど、やたらとグルーヴがある」というようなドラマーの方が合うのではないだろうか? タカの存在を例えて言うと「味のあるオールドなアメ車に積まれたF-1エンジン」または「ストーンズに加入してしまったスティーヴ・ガッド」みたいなものではないか?
夏のフジロックにも出演するという彼ら。バンドとして世界に通用するかはよく分からないけど、タカのドラムのテクニックは、100近い参加バンドの中でおそらくナンバー1だろう。