フジロックの主催者スマッシュによるオールナイト・イベント。目玉はなんといってもアンダーワールド。90年代後半の活動の集大成と言えるライブDVD“EVERYTHING,
EVERYTHING”をリリースしたばかりという、絶妙のタイミングでの来日ですが、ダレン・エマーソン脱退の影響も気になるところです。
と、私も基本的には「アンダーワールド来日公演」のつもりで見に行ったのですが、会場に入ってビックリ。規模がデカい。ライブステージとDJステージに会場は別れており、フジロックのグリーンステージとホワイトステージのような感じ。ビール売場や屋台も軒を並べ、フジロックの自由な雰囲気そのまま。
同じようなコンセプトのイベントといえば、横浜アリーナのWIREですが、完全にELECTRAGLIDEの勝ちでしょう。アリーナがブロック分けされ、至る所に警備のバイト君が立っていて、「管理されている」感じのWIRE(それでも、普通のコンサートより自由度ははるかに高いが・・・)に比べ、今回は本当にフリー。WIREも運営や会場を見直すべきでしょう。頼むよ、石野卓球。
2つのステージの出演者はなかなか豪華。
ライブステージ
22:45〜0:00 Orbital
1:00〜3:00 Underworld
4:00〜5:00 Luke Slater
DJステージ
21:00〜23:30 日本人DJ(名前は分からん)
23:30〜2:30 Two Lone Swordsmen
2:30〜5:30 Richie Hawtin
まずはOrbital。予定より早くライブを始めたようで、最初の方は見逃してしまいましたが、結構な盛り上がり。頭にライトを2つ付けた八つ墓村ルック(笑)の2人組の繰り出すビートは、芸人的なバカっぽさもあるが、フロアを踊らす迫力は十分ありました。さすがは老舗のテクノ・バンド。
そして、2人になってもアンダーワールドはやはり凄かった。ライブに関してはダレン・エマーソンが居なくなっても問題なし。ダレンが使っていたMACKIEの24chミキサーと機材のラックがなくなり、機材の量は減っていました。これまでは、ダレン・エマーソンとリック・スミスが平行してシーケンスを流し、卓でリアルタイムにミックスしていたようですが、今回はリック・スミスが全ての作業を担当。それでも、あのマジックは健在でした。
アンダーワールドのライブと言えば、TAMATOのVJも欠かせませんが、映像との絡みのコンセプトも変更があったようです。2人になった後のイギリスでの初ライブは、映像抜きで行ったそうですが、確かに映像の存在感は後退していました。フジロック99ではステージ後方にスクリーンを5枚並べ、映像と完全に一体化したステージングでしたが、今回はステージ両サイドにスクリーンを設置。その代わり、照明が効果的に使われていました。
曲も“cowgirl”でスタートという意外な選曲。フジロック99でもライブDVDでも“Rez”とミックスされ、クライマックスで演奏されていた曲を1曲目に持ってくるあたり、新しいアンダーワールドを見せようという気合いが感じられます。代表曲“Rez”は演奏されず、“Born
Slippy”も中盤であっさりと披露。“Rez”と“Born
Slippy”で盛り上がる90年代型アンダーワールドはもう終わり、ということなのでしょう。
Orbitalが早く始まった分、アンダーワールドも12時半くらいに演奏を開始しましたが、終わったのは予定通りの午前3時。こんなフレキシブルなライブを出来るテクノ・アーティストは、世界中でアンダーワールドだけだろう。
最後はRichie
HawtinのDJプレイを楽しみましたが、これも凄かった。フィルターで低音をカットするプレイの繰り返しで、「お前、技はそれしかないのか!?」と突っ込みたくなりましたが、それでも盛り上がりをキープする辺り、並みのDJではない。最後は、TR-909だけでフロアを踊らすという荒技を披露。Richie
Hawtinも凄いが、TR-909というドラムマシンも凄い(笑)。
一番眠い時間帯にアンダーワールドのライブがあったおかげで、今回は途中で寝ることなく、完全徹夜で楽しむことができました。WIREの場合、アリーナ内で休むことは出来なくて、音の聞こえないロビーか、2階スタンドで休むしかないんだよね。会場内で自由に過ごすことが出来た今回のイベントは、本当に快適でした。ただ、散乱するゴミはひどかったけど。フジロックと同じ客層が来ているはずなのにねぇ。
フジロックのダンステント(真夜中のRed
Marquee)はこんな感じなんでしょうが、昼間目一杯ライブを楽しんだ体には、朝まで踊るのは到底ムリ。特に30代サラリーマンにはムリ(笑)。
フジロックでの心残りを晴らす意味でも、こういうイベントはまたやってほしいですね。期待しています。