97年の富士天神山での大惨事以降、奇跡的に天候に恵まれてきたフジロックですが、苗場開催5年目にしてついに本格的な雨が降ってしまいました。
グリーンからホワイトへ向かう山道 |
アヴァロンからヘブンへ向かう下り坂。 この泥道が一番ひどかった。 |
富士天神山を経験している者としては、「木曜、金曜は雨」という天気予報を見た瞬間に長靴を買うことを決めたわけですが、さすがに長靴を履いている人は少なかったですね。スニーカーで泥まみれになっている人が多かった。
程度の差はあれ、大半の人が雨具を用意してきていたようですが、Tシャツと短パンで雨にずぶ濡れという若者もチラホラ。2000年のフジロックの時も軽く雨が降りましたが、あの時よりも無防備な人が増えているような気がしました。客層が広がるとともに、自然の怖さを知らない今時の若者も増えているわけで、今年の雨は今後のフジロックのためには良かったのかもしれません。
上下のカッパで駐車場を出発! |
ムサシホームセンターで450円で買った長靴 |
ライブ開始の前に、まずは先日急死したクラッシュのジョー・ストラマーの追悼イベント。ビデオ上映の後、親友の写真家ボブ・グルーエンとジョーの娘がスピーチしました。僕はパンクにはあまり思い入れはないけれど、歴史を作ったミュージシャンが若くして亡くなってしまったのは、やはり寂しいですね。
そして、スマッシュの日高大将から「先頭打者ホームランになるよ!」と紹介されたのが、ミッシェルさん達。テンションの高い演奏は相変わらず。ふてぶてしさも相変わらず(笑)。クラッシュの“I Fought The
Law”をチバが引用して歌っていました。
「トップがミッシェルだから、金曜は朝イチから大混雑するはず」と思っていたのですが、グリーンステージの混雑度はそれほどでもなかったです。
スチャダラパーのライブを観るのは、一体何年ぶりだろう? そういえば、最近ヒップホップのCDって買わなくなったよな。アニは今でもアニなのか(笑)? そんな思いを胸にホワイトステージへ。
SDP登場の前に、AFRAというボイス・パーカッションの人が出てきましたが、この人スゴイです。1人ターンテーブル状態で、ドラムはもちろん、スクラッチプレイも口だけで完全表現。これを見てしまうと、ハモネプの人達なんて素人同然だよ。
SDPはロボチュー(脱線3って、まだやってるのかな?)をゲストに迎えて、3MCにシンコのDJ、さらに生ベースも加わるという編成。「ピーカン予定のセットを持ってきた」ということで、雨のライブに本人達も困惑気味でしたが、意外なほど観客は盛り上がりました。
MCボーズももう34歳(俺と同い年じゃ)だそうで、LBネイションやブギーバックで盛り上がった頃が懐かしく感じられますが、最近のラッパー達よりも、ヒップホップのユーモアの部分を感じさせてくれるSDPのラップの方が私は好きです。
ガーナカレーもシシカバブも美味でした。 |
書道家・武田双雲。生演奏に合わせて、 パネルに習字を書くという斬新な試み(笑)。 |
ドラムにASA-CHANG、スティールパン&ムーグにBuffalor
Daughterの大野由美子、バイオリンにROVOの勝井祐二、ベースにLittle Creaturesの鈴木正人という凄腕メンバーを揃えたUAバンド。このメンバーから想像できるように、最新CD「泥棒」の世界を更に音響系にまで深化させたアバンギャルドな演奏でした。
UA本人も鳥の鳴き声みたいな「ピロピロピロ」なんて声でインプロヴィゼーションに参加。人力アブストラクト(?)とでも言うのか、かなりヤバイ音世界にUAは足を踏み入れているようです。
去年のレッド・マーキーでのライブを観て「イキのいいバンドだな」とは思っていたのですが、今年はグリーンステージで大ブレイク。グリーンのヘッドライナー以外のバンドの中では、最高の盛り上がりを見せたのではないでしょうか?
ドラマーは上手いんだか下手なんだか分からんけど、バンド全体のグルーヴが合致しており、レスポール1本で様々なサウンドを生み出すギタリストもなかなかのテクニシャン。そして、ボーカルのハイトーンがもたらす高揚感は、まさにダンス・ミュージック。
音楽として新しい要素はないと思うけど、ブレイクする瞬間のバンドの勢いというものは、本当に気持ちいいものです。
スライ&ロビーの前には、FIRE
BALLという日本のレゲエバンドが演奏していましたが、やはり本物は音の太さが違う。同じPAシステムを使っているのに、低音の鳴りが全然違うのは、ミュージシャンとエンジニアの技量の差なのでしょうか。
ボーカルのマイケル・ローズもさすがは元ブラック・ウフル、番長的な存在感たっぷりで、最後まで観ていたかったのですが、アンダーワールドのために、泣く泣くグリーンステージへ移動。
99年はホワイトステージで伝説的なライブを繰り広げたアンダーワールド。今年のグリーンステージのヘッドライナーは、本人達の希望によるものだそうで、それだけフジロックはアンダーワールドにとっても特別な場なのでしょう。
セットチェンジ中から、4つ打ちテクノビートが場内に流れ、「サウンドチェックにしては音がデカイな」と思っていると、どうやらDJプレイだった模様。ライブ前から観客は踊りまくりで、さすがはアンダーワールド、粋な演出です。
そして、ステージに登場したカール・ハイドとリック・スミスは、抱き合ってフジロックに戻ってきた喜びを表現。その姿だけでも観客は盛り上がります。
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ダレン・エマーソン脱退後のライブは、私はこれで3回目ですが、過去2回は“Rez”を演らなかったり、“Born Slippy”を中盤に持ってきたり、色々と試行錯誤をしている様子でしたが、今回は直球勝負。まさにベスト選曲でした
Mo Move
Rez/Cowgirl
Two Months Off
Shudder/King of Snake
Pearl's Girl
Dinosaur Adventure 3D
Jumbo
Twist
Kittens
Born Slippy NUXX
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Moaner
名曲“Rez”は2曲目であっさりと披露しましたが、“Rez”とミックスされた“Cowgirl”の切れ味が抜群。全て機械でプログラムされたサウンドなのに、ミックスする人間の気合いが伝わってくるところがアンダーワールドの凄いところ。そして、「You Bring Lights In」とカールが歌う“Two Months Off”の幸福な解放感。あの曲こそ、アンダーワールドの真骨頂だと思う。
21時30分にスタートしたライブは、予定を30分オーバーして23時30分に終了。冷たい雨が降りしきる中、笑顔でダンスし続けた観客達とともに、今年も新たな伝説が生まれたのは間違いありません。
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