前日のキッズだらけのサマソニとは正反対、大人と家族連れ対応の落ち着いたフェス。
キュレーター(オーガナイザー)はYMOの高橋幸宏とデザイナーの信藤三雄の2人で、出演バンドはやはりYMO人脈を中心にセレクト。なんと言っても、YMOを生で観ることができるのが最大のポイントです。
会場の夢の島はJR新木場駅から徒歩15分程度。かつてはゴミ埋め立て地だったとは思えないほど緑豊かで驚きました。イメージ的には都会のオアシス(笑)。
このフェスの特徴としては、イスだけでなく自前のレジャーシートも持ち込み禁止、その代わりにフェスオリジナルのレジャーシートを入場口で渡してくれます。確かに、芝生の上に同じシートが敷かれていると、見た目的にスッキリしますね。色がバラバラのシートが敷き詰められていると、花見の宴会風景(笑)みたいになってしまうかもしれない。
ちなみに、一般的なフェスとは違って、ブロック指定ありで、リストバンドはありません。再入場は禁止だったはず。
オープニングアクトは、HASYMOのサポートメンバー権堂和彦が参加するバンド。フォーキーなエレクトロニカとでも言うべきか、ホーンやマンドリン、アコーディオンなどの生楽器をフィーチャーしつつ、音の重ね方には電子音楽的な思考が感じられる。
会場にはステージが2つあり、真ん中のメインステージと左側のセカンドステージで交互に演奏を行うスタイル。
PAの音は常にメインステージのスピーカーから鳴っているので、私、最初はセカンドステージでanonymassが演奏していることに気付かず、場内SEが鳴っているんだと思ってました(笑)。曲間で「ありがとうございました」と女性が話すので、変なSEだなぁと(笑)。まるでCDのように完成度の高い音だったとも言えるが、BGMのように当たり障りのない演奏だったとも言える。
まずは、キュレーターの2人、高橋幸宏と信藤三雄が登場。「他でもフェスをやってますが、ゆっくりと楽しんでくださ〜い」とゆる〜い感じの挨拶をしてくれました。
続いては、メインステージの1発目、スカパラ。冷牟田脱退後のライブは初めて観ますが、その影響を全く感じさせない。いつ観ても、どこで観ても、スカパラのライブにはハズレ無し。茂木欣一のボーカルも堂々としていい味を出していた。
やっぱり、夏フェスはこうでなくてはイカンよ。
ステージに向かって左サイドがフードエリアで、飲食屋台が並んでいますが、缶ビールしか売っていないのが残念なところ。やっぱり野外では生ビールを飲みたいのだが・・・。
右サイドには物販テントがありますが、YMOのTシャツは早々に完売となってしまい、ゲットできず。残念。ボアダムズのTシャツを売っていたのはなぜだろう?
特筆すべきはステージと反対側にあるトイレエリア。仮設トイレがずらりと並んでいて、行列全く無し。子供連れも多かったので、トイレ不足は致命傷になりかねないからでしょうか。他のロックフェスにも見習ってほしいトイレの充実度でした。
メインステージのスカパラ終了後は、即座にセカンドステージで演奏スタート。2ステージあると、前のバンドの演奏中に次のバンドがセッティングできるので、待ち時間が全くありません。若干せわしない感じもしますが、普通のロックフェスみたいにステージを移動してウロウロする楽しみが無い会場だし、子供連れも多いし、待ち時間は無い方がいいのでしょう。
さて、登場したのは、タモリ倶楽部の空耳アワーでお馴染みの安齋肇が率いるパンクバンド、ラストオーダーズ。
「サマソニで来日するセックス・ピストルズと共演したい」ので、バンドを結成したそうです。結成の動機といい、午前中はサマソニ、午後はワールド・ハピネスに出演とフェスをハシゴする無茶な行動といい、下手くそな演奏といい、全てがパロディーなんでしょうなぁ。
曲も「GIGって最高、チョベリグー」とか「パ、パ、パ、パンパンパンク!」とか「未来はフューチャーだらけ」とか、しょうもない歌詞ばかり(笑)。
鈴木慶一のアルバム「ヘイト船長とラヴ航海士」を曽我部恵一がプロデュースしたのをきっかけに、ライブに発展した「ダブル・ケイイチ」企画。
バンドの演奏には骨太のグルーヴ感と混沌としたカオス感があり、非常にうまく構築されている。鈴木慶一のクセのあるボーカルスタイルは好き嫌いがあると思うが、曽我部恵一がボーカルの曲は渋谷系全盛期を彷彿とさせるものがありました。
バンド名は文字化けしているわけではなく(笑)「クチロロ」と読むそうです。どんな音だったか、全く記憶無し。すまん。
高橋幸宏、高野寛、権藤知彦、高田漣のHASYMOのメンバーに、原田知世と堀江博久を加えたエレクトロニカ界のスーパーバンド。
なんと言っても、原田知世がカワイイ! とても40歳を過ぎているとは思えない。「時をかける少女」が大好きだった私としては、知世ちゃんを生で見れただけでもう満足だわ(笑)。このバンドは曲ごとにボーカルが交代するのですが、俺的にはもっと知世ちゃんに歌ってほしかった(笑)。
演奏は完成度が高すぎて、ライブ感が希薄だったのが残念なところ。
坂本龍一のレーベルcommons所属のボサノヴァ・デュオですが、バンド編成でのライブ。
大人のフェスにぴったりのリラックスした音楽ではありましたが、ボサノヴァを「昼下がりの癒し系」みたいな気楽なイメージで演奏するべきではない、と俺は思うのだが・・・。
飲食屋台も普通のロックフェスとは異なる独自の路線でした。ビールのお供に200円のさつま串を。
この日の出演者の中ではちょっと異色。演奏も歌もあまりにも普通のポップミュージックで、何のひねりも無かった。
YMO人脈との縁も分からないし、謎のブッキング。
ちょっと早めの夕食です。ご飯にトマトソースとチーズをかけてボリュームたっぷりでした。ま、イタリア丼って、アバウト過ぎるネーミングだとは思うけど(笑)。
音楽もやっているとは知りませんでした。今回はバンドではなくピアノと2人で弾き語り。
「これだけ世の中がおかしいと、うつ病くらい患うのが大人のたしなみだ。」なんて、ダラダラとMCが長くて、ここまでタイムテーブル通りだったステージ進行が15分押しになってしまった。
最後は自作の「おでんくん」のテーマソングを披露。着ぐるみも登場したので、子供達は大喜びでした。
THE BOOMの宮沢和史が今はGANGA ZUMBAというバンドをやっている、なんて知らない人の方が多い客層だったんじゃないかと思いますが、そんなアウェーな場でこそ、彼等の多国籍サウンドは威力を発揮する。
沖縄音楽と中南米のリズム、さらにクラブミュージックのグルーヴまでがミックスされた音楽と確かな演奏力は圧倒的だった。
マルコス・スザーノとフェルナンド・モウラの2人のブラジル勢は欠席で、日本人のパーカッションとキーボードが代役で参加していましたが、そんなハンディは全く感じさせない。
何も知らない子供達が楽しそうに踊る姿こそ、彼らの音楽の持つ力の証明だ。
01.ちむぐり唄者
02.Mambolero
03.足跡のない道
04.HABATAKE!
05.DISCOTIQUE
ちなみに、メンバーの高野寛はpupa、HASYMOにも参加していて、今日は3バンドで出番があるので、宮沢和史曰く、今日は「高野寛祭り」だそうで(笑)。
デザイナーの信藤三雄とレコーディングエンジニアの成田真樹による異色のユニットに元ピチカートファイブの歌姫が参加。
「NRT320」と書いて「ナリタミツオ」だそうです(笑)。
非ミュージシャンの信藤三雄氏が何を担当するのか予測がつきませんでしたが、なんと歌う野宮真貴をデジカメで撮影して、画像をリアルタイムでVJ映像にミックスして使うという、写真家ならではの斬新な技を披露。
音楽面でも強力な4つ打ちビートは迫力満点。小泉今日子の“FADE OUT”をカバーし、現代的なクラブミュージックとして見事に復活させていました。
それしても、ボーカル兼被写体の野宮真貴の立ち姿がいちいちカッコいいのよ。
しかし、腕や手のひらに歌詞の一部をマジックで書いておいて(笑)、曲の進行に合わせて撮影するというユーモアも忘れない。これも遊び慣れた大人の余裕の現れか。
もはや日本ロック界の伝統芸能にして至宝。シーナのハスキーな歌声、ビッチなアクション、一昔前は「ロック」と言えばこれだった。
最後の曲は鮎川誠のボーカルで“MY WAY”のカバー。我が道を30年間突き進んできたワン&オンリーなバンドにリスペクト。
伝説でしか知らない東京クラブシーン黎明期のバンドが復活ということで、非常に期待していました。高木完(Vo,G)、ブラボー小松(G)、坂本ミツワ(Key)、岡野ハジメ(Ba)、椎野恭一(Dr)という豪華メンバー。
しかし・・・尖ったニューウェーブサウンドを想像していたのですが、なんだこりゃ? カントリーか? グループサウンズか?
残念ながら、予告されていた近田春夫のゲスト参加はキャンセルでした。NRT320がカバーした小泉今日子“FADE OUT”の作曲者だし、登場すれば絶対盛り上がったのに。
あのYMOの3人がステージに並んだだけで会場の空気が変わる。そして、1曲目は意外にも教授のソロ作“Tibetan Dance”。
私は全盛期のライブはDVDでしか見たことしかないけど、基本的には当時のトンガっていたYMOとは別物。しかし、聴感上は穏やかな音像でありながら、張り詰めた緊張感が音の背後に感じられるのが現在のHASYMO。
サポートのメンバー(特に高野寛のギター)もいい仕事をしている。浮遊感あふれる新曲“The City of Light”のなんと美しいことか。
01.Tibetan Dance(坂本龍一)
02.Tokyo Town Pages
03.The City of Light
04.Wonderful To Me(スケッチショウ)
05.Supreme Secret(スケッチショウ)
06.War & Peace(坂本龍一)
07.Riot In Lagos
(encore)
08.Rydeen 79/07
09.Cue
メッセージ性の高い映像とリンクしつつ、MC無しでシンプルにステージは進んでいく。幸宏さんは今日はドラムに専念し、フロントに出てくることはない。細野さんのベースとのコンビネーションはまさに熟練の匠の技。
アンコールではついに“Rydeen 79/07”が登場し、最後の曲は“Cue”。教授がドラムを叩くのが“Cue”のお約束だと思っていましたが、今日は教授はキーボードの前から動かず。幸宏さんがドラムを叩く“Cue”は初めて見ました。
リリー・フランキーが時間オーバーしたせいで、帰りの新幹線に間に合うか厳しくなってしまい、時間が気になって最後は演奏に集中できなかったのがちょっと残念。
初開催の大人のフェスでしたが、特に問題も無く上手くオーガナイズされていました。
サマソニと同じ日での開催でも、1万人が集まるのだから、こういうイベントを求めていた層も実は多かったということですね。来年もまた開催されることを期待しています。