新作“The gentle
sex”のリリースを受けてのツアー。といっても、CD発売前に既にツアーはスタートしており、ようやくCDがリリースされる頃にはもうツアーも終盤といる日程は、商売的にはどうなんでしょうかね? 解凍後はそんなパターンが続いているような気がしますが・・・
新潟県民会館で角松を見るのは私は初めて。チケットは一般発売で買ったら、なんと2階席でした。1ヶ月前のブリリアント・グリーンの時は2階席は閉鎖していたぞ。う〜ん、そう考えると角松って結構人気あるんだなぁ。ファンクラブ会員ではないと思われる2階席のお客さん達も、開演前にはせっせと紙飛行機を折っていた。
“The gentle sex”は、角松敏生が過去に女性シンガーに提供した曲を本人がカバーするというアルバムで、今回のツアーも「女心を歌う」というのがテーマ。角松本人の作品の中にも女性の立場で詞を書いた曲は結構多いので、女言葉の歌詞オンリーのライブが成立してしまうのがすごいところです。“The
gentle sex”からの曲はもちろん、Vocaland関係の女性シンガー、杏里、中山美穂等々に提供した曲、自身のアルバムからは“Ramp
in”“Uptown Girl”等を取り上げておりました。まさか中山美穂の“Catch Me”まで歌うとは思わなかった。
バックはほぼいつも通りの角松バンド。
江口信夫(Dr)
青木智仁(B)
浅野祥之(G)
小林信吾(Key)
友成好宏(Key)
田中倫明(Per)
本田雅人(Sax)
山田洋(Manipulater)
鈴木かずみ(Cho)
高橋かよこ(Cho)
なんと今回はT-スクエアを辞めた本田雅人が参加しており、素晴らしいプレイを聴かせてくれました。角松のツアーに参加するのはLEGACY
OF YOU
のインスト・ツアー以来ですよね。サックスだけでなく、トランペット、フリューゲルホーン、フルート、トロンボーンとあらゆる金管楽器を演奏という感じ。いやー、どれを演奏しても上手いよ。そしてソロも最高にカッコいい。私には角松のボーカルよりも本田雅人のソロの方がグッと来た(失礼)。
それにしても、今回もバックメンバーによるソロ・コーナーで席を立つ客が多数いましたが、あんな素晴らしい本田雅人のサックスを聴かないなんて、私には全く信じられない。そこは角松ファンに対してはっきりと苦言を呈しておきたい。
遊びで杏里の曲をちょっとだけ演奏するコーナーもありましたが、やはりこのバンドの16ビートは抜群にカッコいい。シーケンスで作り込んだ曲よりも、オール生で気軽に演奏する曲の方が魅力的に聴こえるのは気のせいか?
今回はある意味企画ライブとも言える内容なので、解凍後のツアーみたいな気負いのないリラックスした雰囲気で、いいライブでした。杏里に提供した曲で“Take You To The Sky
High”とほとんど同じコード進行の曲があるようで、その2曲をミックスしてプレイするという自殺行為(笑)のような演奏も披露。やはり今回も角松のライブでは定番の紙飛行機がホールを乱舞したのでした。
アンコールは名曲“You're My Only Shinin'
Star”。角松が中山美穂に書いた曲にはいい曲が多いね。
そして、演奏が終わり、客電がついてもお客さんは帰らない! なおもアンコールを求めます。すると、ついに角松が小林信吾とともに登場し、モア・アンコール開始。インターネットで情報が瞬時に駆けめぐるこの時代、今回は客電がついてからでもアンコールに応えてくるかもしれない、という情報を私も得ていましたが、やはりこういう本物のアンコールは嬉しいものです。ファンとアーティストの思いがクロスする瞬間は感動的でした。
小林信吾のピアノのみをバックにした“花瓶”(これも中山美穂に書いた名曲)が終わっても、なおも観客の拍手は角松を引き留め、ギター一本で歌う“Still I'm In Love With
You”と“No End Summer”まで聴かせてくれました。
今回のMCで、角松は「次は全く新しいサウンドを作る。“Gold
Digger”の時のような大胆な変化を見せる。」と宣言していましたが、次の作品に期待したいと思います。ま、解凍する時も似たようなことを言っていたような気がするんですけどね(笑)。今度は本当に頼みますよ。2000年という新しい時代にふさわしい新たなミュージシャンシップを見せてくれることを期待しています。