THE CORNELIUS GROUP

SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW

2007年3月11日(日) 新潟LOTS


5年ぶりのライブ

 5年ぶり新作リリース、そしてツアーとついに活動を再開した小山田圭吾。私もコーネリアスのライブを観るのは、2002年新潟フェイズフジロック以来の5年ぶり。新潟は3月だというのに、雪混じりの嵐だったのですが、強引に自転車で新潟LOTSへ。
 「69/96ツアーの時はホールの新潟テルサだったのですが、今回の会場はコーネリアス史上最小のキャパのライブハウス。スタンディングの会場は埋まってはいるものの、客層は30代渋谷系世代が主力で、新しいファンは付いていないらしいのが、ちょっと寂しい。


映像と演奏の完全シンクロナイズド・ショウ

 ステージ前の白い幕に新作「SENSUOUS」のジャケットと同じカラーリングの映像が映し出され、ライブはスタート。
 幕が開き、現れたメンバーは、2002年の「POINT」ツアーと多分同じメンバー。いや、ベースは前回は大橋伸行だったかも? どっちにしても元ブリッジだから大差ないか(失礼)。メンバー全員にウィンド・チャイムが用意されていて、キラキラした金属音を鳴らしまくっていました。

小山田圭吾(Vo,G)
堀江博久(Key)
清水ひろたか(B)
あらきゆうこ(Dr) ちなみに、清水氏とあらきさんは夫婦らしい。

 「シンクロナイズド・ショウ」の名のとおり、映像演奏完全同期で進行していく。ドラマーは、インイヤー・モニターでクリックを聴いていた。
 ま、このライブ・スタイルは「ファンタズマ」以来のコーネリアスのお家芸ではありますが、構成・演奏がかなり複雑な「SENSUOUS」の楽曲で、当たり前のように映像とシンクロさせて生演奏を繰り広げるあたりに、このバンドの成熟を感じました。MCは全く無しで(サンプリング・ボイスでちょっとした喋りはあったけど)、完璧にパッケージングされたステージ。
 映像は完全に作り込まれたものを流していましたが、新作(曲名忘れた)で、無数の紙粘土人形(?)がクルクルと公園のセットで回り続ける映像では、小山田自身がステージ前のVJ機材で、映像のズームイン・アウトをコントロールしていました。
 曲目は、多分こんな感じ。2ちゃんねるで拾ってきたセット・リストなので、正確ではないかも。

1.Breezin'
2.Wataridori
3.Gum
4.Smoke
5.Tone Twilight Zone
6.Drop
7.Point of View Point
8.Count 5 or 6
9.I hate hate
10.Brand New Season
11.Beep It
12.Star Fruits Surf Rider
13.Fit Song
14.Like a Rolling Stone
15.Music
16.Sensuous
(アンコール)
17.E
18.Sleep Warm

 「69/96」から唯一生き残っている“Brand New Season ”と「ファンタズマ」の“Count 5 or 6”“Star Fruits Surf Rider”の定番曲以外は、全て「SENSUOUS」と「POINT」のアルバムから。
 というより、「POINT」ツアーに「SENSUOUS」の新曲をプラスした、と言った方がよい。
 観客ステージに上げてのテルミン演奏や、BOSSのコンパクト・サンプラー観客席に投げ入れるパフォーマンスも相変わらず。“Tone Twilight Zone”や“Count 5 or 6”での映像は前回ツアーと同じだったこともあり、5年前とコンセプトはほとんど変わらない印象でした。


成熟してしまった渋谷系

 ソロになってからの小山田圭吾は、アルバム毎に音楽性を次々と変えてきたのですが、ついにその変化が止まってしまった感じなのが、非常に残念です。
 大量の音楽知識を基に「ネタ」として音楽を組み合わせるスタイルから、「」そのものの響きに目覚めて、深化・純化してきたのが、小山田の音楽制作の変遷だと思いますが、前作「POINT」で究極のスタイルに行き着いてしまったのでしょうか?
 5年という長い時間が経過しているにも関わらず、「SENSUOUS」は「POINT」の続編と言っていい内容になっていて、ツアーも前回のスタイル踏襲した内容。90年代渋谷系な小山田なら、5年後には全く別の展開を見せてくれたはずだ。
 まぁ、オリジナル・ラブ田島貴男のように、新しいスタイルを求めるあまり、糸が切れた凧みたいになってしまったり、小沢健二のように世捨て人になってしまうのも困りモノなので、自分の鳴らすべき音をしっかりと見定めた小山田は幸せ者なのかも。
 ステージ上の小山田は、30代後半とは思えない若々しい出で立ちだったけど、中身は成熟した大人の音楽家になったのだなぁと、同世代としては、嬉しいような悲しいような、複雑な心境です。



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