くるり

ツアー2007「ふれあいコンサート」

2007年9月12日(水) 新潟県民会館


クラシック導入?

 ギターの大村氏が脱退し、2人になったくるり。クラシック音楽との融合を図ったというウィーン録音の新作「ワルツを踊れ」をリリースしたばかりですが、新しい編成、新しい音楽性をライブでどう表現するのかが最大の関心事です。
 それにしても、「ふれあいコンサート」という人を食ったようなタイトルが、実に彼等らしい(笑)。
 ステージに登場したのは、くるりの2人に加えて、サポートのドラマー(日本人)とキーボード兼ギター(金髪の外人)、そして、クラシック風に正装(?)した3人組がステージ前面に並ぶ。もしや、この3人は弦楽器隊かと思ったら、実はコーラス隊でした。
 ということは、ストリングスをハードディスク出しで同期演奏して、新作の曲を再現するのかと思ったのですが、さすがにくるりはそんな姑息な手段は1曲でしか使わず、男らしく生演奏していました。実際、新作CDは「クラシック音楽との融合を図った」とは言うものの、ストリングスのアレンジが少々目立つ程度だったので、ギターバンド編成でのライブ演奏でも違和感はない。西欧のクラシックというよりは、東欧的なメロディーや三拍子のリズムの方が目立っていました。
 岸田君の横には、指揮者風の台が用意されていて、“アナーキー・イン・ザ・ムジーク”では、指揮棒を持ってソロ奏者を指名していましたが、なんだかお遊びにしか見えなかったなぁ。さらに、なんとライブ中盤では15分間の休憩時間がありました。これもクラシックのコンサート風なんでしょうが、これも無駄な時間だったと思う。岸田君のクラシック趣味、今ひとつ理解できんよ(笑)。


新作とファンサービス

 曲目は新作「ワルツを踊れ」に、“ばらの花”“ワンダーフォーゲル”“R'n R Workshop”“ロックンロール”“Baby I Love You”といった定番曲をプラスして、さらにアンコール最後は“東京”という構成。
 非西欧ポップスな音楽性の「ワルツを踊れ」の楽曲達で、独特な空気をせっかく築いたのに、突然“ワンダーフォーゲル”を演奏されると、雰囲気ぶち壊しという気がしないでもない。もちろん観客は“ワンダーフォーゲル”で大喜びするけれど、ファンサービスは置いておいて、もっと自分達の音世界を追求してもいいのではないだろうか?
 あと、不思議だったのは、コーラス隊3人の存在。男2、女1の「サスペンダーズ」というグループとのことで、山下達郎バンド並みの布陣ですが、コーラスがバッチリ効いていたのは“Baby I Love You”くらいで、宝の持ち腐れだったという気がする。ただ、コーラス隊と一緒に歌を練習したせいか、岸田君のヘタウマ(笑)なボーカルは随分と上手くなっていたと思います。


求む!強力ドラマー

 クリストファー・マグワイヤ脱退後のくるりで気になるのは、やはりドラマーのレベル。久々の日本人ドラマー菊地悠也がサポートしていましたが、2代続いた外人ドラマーに比べると、やはり見劣りする。
 特に名曲“ロックンロール”のスピード感、高揚感はクリストファー・マグワイヤのドラムでないと表現できないということを今回痛感しました。菊地悠也のドラムでは、同じ曲とは思えないほど迫力がない。あんな“ロックンロール”なら、もう聴かなくていいや。
 新作のくるりの音楽性では、クリストファー・マグワイヤは合わないとは思いますが、あの最高のドラミングを一度体験してしまうと、現在のくるり自体の演奏レベルが下がったように感じてしまうのが悲しいところ。
 くるりのドラマー問題は本当に根が深いと思う。強力な新メンバー加入を心から願っています。

 



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