日本を代表するバンドネオン奏者、小松亮太。というか、私は彼以外にタンゴの演奏家って知らないのだけど。
はじめて彼を見たのは、なんと数年前の「開運なんでも鑑定団」(笑)。バンドネオンを買いたいということで出演していて、その時は彼のことは全く知らなかったのだけど、今にして思えばあれは確かに小松亮太だったよなぁ。その後、NHKのピアソラ特集で彼の演奏を初めて観てノックアウトされ、それ以来ずっと生で観てみたかったんだよね。今回は長野県岡谷市まで行ってきました。
会場は基本的にクラシック系のホールで、なんと隣の大ホールにはNHK交響楽団が来ていました。小松亮太はキャパ200人くらいの小ホール。客層は老若男女というか、N響の客プラス若い女性ファンという感じ。普段のライブ環境とはあまりに異なる客層にちょっとビックリ。もっと若い人達にも聴いてほしいなぁ。
今回は小松亮太のレギュラーバンド「ザ・タンギスツ」による演奏ですが、バイオリンとギターがいつものメンバーとは違うようでした。
小松亮太(バンドネオン)
会田桃子(バイオリン)
熊田洋(ピアノ)
東谷健司(コントラバス)
桜井芳樹(ギター)
残念なのは、ギターが鬼怒無月(注:人名です)でなかったこと。今回たまたま参加できなかったのか、それともタンギスツを辞めてしまったのか、気になるところです。本来はプログレというかフリージャズというか、実験系のギタリストですが、あのノイジーなギターとピアソラの曲が合うんだよねぇ。生で聴きたかったのに残念。
会場は全席自由で、5列目くらいの真ん中に陣取ったので、楽器の音はPAを通さず、生音で聴こえてくるほど近い。やはり間近で観るバンドネオンの演奏は本当に迫力があり、小松亮太のパッション溢れる演奏は感動的でした。演奏している時の彼は目が完全にイッている。本物だよ。
ピアソラ絡みで語られることの多い小松亮太にとって、どうオリジナリティを出していくかが課題だと思っていましたが、ピアソラの曲だけでなく、昔の日本の歌謡曲(確かにタンゴの曲って多いと思う)や、他のタンゴ作曲家(その辺は私にはよく分からん)の曲も色々と演奏し、幅広い音楽性をみせてくれました。
が、やはりピアソラの曲は別格。特に「ブエノスアイレスの夏・秋・冬・春」と4曲連続での演奏は圧巻。本当に涙が出そうになったよ。曲の良さと演奏の良さが結びついた素晴らしい瞬間でした。
クラシック系の企画らしく、途中に休憩時間がありましたが、小松亮太のCDは飛ぶように売れていました。私も持っていなかったミニアルバム“アグア・ベルデ”とTVドラマ「ラビリンス」のサントラを購入。「ラビリンス」がピアソラの曲を使っているのは知っていましたが、あれは小松亮太&ザ・タンギスツによる演奏だったのですね。
終演後はなんとサイン会までありました。バンドメンバー全員が並んでサインしてくれましたが、小松亮太は意外に背が小さい。でも、ステージではずっと大きく見えるあたりが、本物のパフォーマーの証だなぁ。
私も買ったばかりの“アグア・ベルデ”のCDジャケットにサインをもらい、握手してもらいました。男の私でも惚れるくらい小松亮太はカッコよかった。また観に行きますよ!