今年で2回目だというこのTAICOLUB。去年はこんなイベントが長野の山奥で行われているとは全く知りませんでしたが、今年は「ドラびでお」が出演という情報を入手し、友人と2人で参加を即決。
新潟を9:30に出発して上信越道に乗り、長野の塩尻インターまで3時間半。高速を降りて、木曽路を走ります。俺、「木曽」って岐阜県だと思っていたよ(笑)。道路沿いには「木曽漆器」の販売所や工場がやたらとあって、「木曽漆器祭」があちこちで開催されてました。しかも、お客さんも大勢いて、賑わってます。漆器人気、恐るべし。
一般道を1時間ほど走って、会場のこだまの森には14時の開場時間に到着。本当に山の中のキャンプ場です。
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駐車場からテントセット一式を持って出発。入場の列に並びます。
まだ6月の初めなので、「夏フェス」の時期にはまだ早いし、高原なので夜はかなり冷えることが予想されます。皆さん、しっかりとアウトドアの用意をしてきていました。行列に並んでいたのは30分くらい。
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入場ゲートでリストバンドを付けてもらうために、腕時計と同じ左手を受付のお姉さんに差し出すと、「右手でお願いします」と言われてしまった。確かに全員が強制的に右手にリストバンドを付けられていましたが、何故だ? インド式に左手は不浄の手だからか??
フジロックと違って、そもそも再入場不可で、車に戻ることはできないのだから、このリストバンドって意味無いようなな気もしますが・・・。
入場ゲートを通ってから会場まで、まだ1kmくらいあり、結構遠い。キャンプ場内の本来の駐車場に特設ステージが作られているので、場外の空き地が観客用の臨時駐車場になっているのが原因でした。
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まずはキャンプサイトで、友人から借りたテントを張ります。2004年、苗場でのメタモルフォーゼ以来のテント設営なので、張り方をすっかり忘れていましたが、なんとか完成。
キャンプサイトと特設ステージが近いので、テントにいても十分音が聞こえるし、遠くを眺めると、なんと雪山が見えます。苗場のフジロックと違って、人混みもないし、ノンビリした雰囲気がいいですねぇ。
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会場内の配置は以下のとおり。野外特設ステージと常設の野外音楽堂の2つのステージで同時進行するスタイル。特設ステージは主にDJプレイ、野外ステージはDJとバンドが交互にプレイする構成です。
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テントを張ったら、まずは腹ごしらえ。タイ料理の屋台とアフリカ料理の屋台は、夏フェスでは常連ですね。俺もフジロックやWIREで何度食べたか分からないくらい(笑)。オムライスの屋台は珍しいかな。他にもラーメンの屋台もあった。
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本来はキャンプ場なので、ちゃんとした常設の食堂もあり、普通に営業中だったのは面白かったですね。エスニック系を食べ疲れたら、ここで普通のうどんとか食べるのもいいかも。ま、もちろん深夜は営業してないですけどね。
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というわけで、まずはシシケバブ(アフリカ焼き鳥)と缶ビールをゲット。缶ビールは、エビス、サッポロ、ギネスが同じ500円。そりゃ、エビスを買わなきゃ損でしょ(笑)。相棒はケバブサンドイッチ。
そして、ドラびでおのTシャツを早速購入!
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キャンプサイト反対側の仮設トイレエリアは、十分な台数で行列は全く発生せず。快適でした。
野外音楽堂は山の上にあるので、近道しようとすると、急な坂道を登ることになります。これが結構疲れるし、暗くなってくると、坂を降りる時には足が滑りそうで怖い。童心に帰ってジャンボすべり台で滑り降りてくるのが、一番安全でした(笑)。
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16:30頃、野外音楽堂に行ってみると、ちょうどDachamboのリハーサルが終わったところでした。芝生が心地よいので、思わず昼寝してしまった(笑)。
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野外音楽堂では17:00からクボタタケシのDJが始まりましたが、ヒップホップを期待していたのに、オールド・ポップスみたいな選曲でイマイチ面白くない。
というわけで、山から降りてきて再びメシ(笑)。今回は定番のグリーンカレーとギネス。相棒はバリ屋台ラーメン。
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2度もメシ食って、ようやく本格的に音楽レポートの開始です(笑)。
まだまだ明るい時間に登場した田中フミヤ。BPM遅めで抑制の利いた4つ打ちテクノをプレイしていました。バキバキ踊らせない4つ打ちというのも珍しい。
ツイン・ドラムにベース、ギター、キーボード、さらにディジリドゥーという編成のジャム・バンド。基本的にはインストだけど、単なるソロ回しとはならずに、各楽器のソロパートでもグルーヴとの一体感を感じさせるのが、フュージョン・バンドとの違いか?
ベースもギターも相当の腕前で、長尺の演奏でも全く飽きさせないし、観客を踊らせ続ける力も十分。ま、ディジリドゥーはほとんどPAから音が聞こえなかったので、無くても問題ないかもしれんが。
今年のフジロックにも出演するそうなので、これは期待できます。
Dachamboが終わって、山から降りてきたら、また腹ごしらえ。食い過ぎだな(笑)。
このキャンプ場常設と思われる五平もち売り場へ。竹串の周りにもちを巻いて、味噌をつけて焼いたもの。訳の分からない騒音と若者達に囲まれても、マイペースでもちを焼き続ける地元のジイさんにリスペクト。
友人のDJ
ABIさんから教えてもらった「ドラびでお」。山口県在住のドラマー一楽儀光氏による1人ユニットです。
ドラムセットに取り付けたセンサーでトリガーして、映像をコントロールするというシステムを自ら開発したらしい。ドラム演奏と映像が完全リンクし、天皇や皇族の映像をネタにするヤバイ芸風のライブ映像を見てメチャメチャ衝撃を受けたので、今回のライブを非常に楽しみにしていました。
もちろん、昼間のうちに買っておいたドラびでおTシャツ着用で、ステージ最前部に突入です。
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ライブは、スターウォーズのオープニングテーマと彼方へテロップが流れていくお馴染みの映像でスタート。
ヒゲのオッサンのドラマー(笑)が1人で何を始めるのか疑心暗鬼だった観客も、小泉前総理や金日成がコラージュされる映像と超絶テクのドラム・プレイで場内騒然、大興奮。TAICOCLUBの主役は、このオッサンに決まりですよ。
映像のネタになっていたのは、引っ越しオバさん、耐震偽装事件、NHKのど自慢で「ギザギザハートの子守歌」を歌うジイさん(笑)、亀田三兄弟、坂本龍一、「おふくろさん」の川内康範、北朝鮮のマスゲーム、猫ヒロシ、細木数子、マツケンサンバ、ブッシュとイラク戦争などなど。
特に強烈だったのは、安倍首相の「美しい国」宣言とイメクラに溺れる中年紳士の映像のコラージュ。
過去のライブ映像では、イ・パクサも天皇も「面白い映像」という意味で同列に扱う視点でしたが、今回のライブでは明確な政治的・思想的な意図を感じました。
映像はドラムでのリアルタイム・コントロールの要素は減って、構成がきっちり作り込まれている印象を受けました。音も、サンプリング・コラージュよりも、しっかりと作曲されている感じ。完成度は非常に高いですが、リアルタイムでコントロールする部分が減ると、「一発芸」になってしまう危険がありますよね。
特に今回披露されたのは時事ネタ、芸能ネタが多かっただけに、同じネタを2回観ても、同じように興奮できるのかは微妙なところ。
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なんと、今年のベネチア・ビエンナーレ芸術祭に 日本代表(!)として参加するそうで、「上品な芸術を蹴散らしてきます!」と宣言し、芸術祭用に制作したという新曲を披露。「メチャメチャ評判が悪いので、気分が悪くなった人は下を向いて踊ってください」というので、何が始まるのかと思ったら、女性の豊胸手術とオカマの男性器切除の手術の映像でした。確かにこれは私も正視できなかった・・・。ていうか、どこからこんなグロい映像入手してきたのよ?
国際芸術祭用のネタとして、これは大丈夫なんでしょうかねぇ? 芸術家にはゲイの人が多いから、性的マイノリティを笑いのネタにしてウケるのかどうか?
ライブの最後には、「今回使用した映像は、全てLight Wave 3D等のソフトで作った作り物です」というテロップが流れます。いや〜、最後までアナーキーなオッサンだよ(笑)。
終演後の観客からは、「何者?」とか「スゴすぎる!」とか賞賛の声が上がっていました。まさに衝撃のライブ。
フェンダーローズをフィーチャーしたアルバム「Satisfaction」がタワレコでやたらとプッシュされていましたが、宅録系のアーティストだと思っていたので、まさかライブを観れるとは思っていませんでした。クラブ系と言うほどは踊れず、ラウンジ系と言うほどにはイージーでもない不思議なサウンドは、私も愛聴していました。
メンバーは、エレピを弾くイノ・ヒデフミ本人とドラム、ベースという最小限のセット。イノ氏はピアニカ、鉄琴(?)も演奏していました。“Just The Two of
Us”のカバーなども織り交ぜ、自然に囲まれた空間によく合うライブでしたが、エレピの柔らかな音色に比べて、リズム隊の演奏がちょっと固かったのが残念なところ。あれだったら、リズムは打ち込みの方が良かったかもしれない。
ラストはシャンソンの“愛の賛歌”のカバーという意外な選曲でしたが、メロウな雰囲気がなかなか良かったです。
一旦テントに戻って夜食。今回はバジル炒めライスと牛串でした。もちろんビールも。マジで食い過ぎだって(笑)。
ちなみに、深夜になるとやっぱり気温が下がります。フリースの上にウィンドブレーカーを着て、完全防寒状態です。
再び山道を登って野外音楽堂へ。スチャダラパーとスライマングースというバンドによる新ユニットです。ラッパーはボーズとアニに加えてロボチューも参加しての3人体制。
バンド名は職安のハローワークが語源だそうです。俺は、モー娘のハロー・プロジェクトに対抗しているのかと思っていた(笑)。
生演奏がバックとは言え、スチャダラパー単独のライブと印象はあまり変わらない。音楽面でもMCでも、演奏陣とはあまり絡むこともなく、いつものスチャダラ節でステージは進行していく。正直、コラボレーションの意味はあまり感じられなかった。
最近のスチャダラパーは、電気グルーヴやアルファと組んだコラボ企画が続いていますが、長いキャリアからくるマンネリ感に苦しんでいるんですかねぇ?
THE HELLO
WORKSを最後まで観て、石野卓球には後半の深夜2時から参戦。さすがに眠いが、卓球の4つ打ちテクノはやっぱり気持ちいい。
VJもライティングも絶好調で、満月の下で踊らずにはいられない。
卓球終了後は力尽きて、テントで爆睡。
朝日の明るさで、6時半頃に目が覚めました。真夏と違ってテントの中は暑苦しくはないけど、やっぱり安眠はできないなぁ。
顔を洗って、ステージ方面へ行ってみると、なんと朝7時だというのに、昨夜と同じジイさんが五平もちを焼いている! タフだなぁ、ジイさんよ。
結局、テントに帰って、8時過ぎまで寝直してしまった(笑)。
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目覚めてから、最後に一踊りするために、特設ステージへ。さすがに人は少ないけど、みんな元気に踊っているよ・・・。
特設ステージの最後のDJは9時で終了。お疲れ様です。しかし、野外音楽堂の方はお昼までアフターアワーズを演っているので、次々と坂道を登っていく若者達。本当に元気だなぁ・・・。
我々30代のオッサン2人組は、テントを片づけて、帰ることにしました。
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イベント全体の印象としては、メタモルフォーゼに近い感じですね。アーティストのチョイスも俺好みで、なによりもフジロックのような混雑が無いのが良い。トイレに並ばなくていい(笑)フェスティバルは、本当に快適です。6月初旬というのは中途半端な時期だと思ったけど、考えてみれば、梅雨入り前だから、意外と天候に恵まれるいい季節なのかもしれない。
というわけで、多分、来年も参加しますよ。
オールナイトの後はやっぱり風呂に入りたい、ということで、こだまの森から車で1時間ほどの白骨温泉へ。数年前、入浴剤を混ぜて温泉を白くしていたという大問題を起こしたあの温泉地です。
煤香庵という日帰り温泉施設に行きましたが、修行僧(?)のような店員が迎えてくれる不思議な温泉でした。ちなみに、温泉はちゃんと乳白色でした(笑)。
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