テクノ、ドラムンベースを取り入れた新作“L”に続くツアーなので、サウンドは予想どおり打ち込みを大幅に導入し、バンドはDr,Per,B,G,Key,Sax,DJ
というこれまでに比べるとシンプルな編成でした。DJがスクラッチを効果的に加えており、1年前のライブよりはバンドサウンドと打ち込みとの融合もよく練られていました。
驚いたのは、フロントの田島の横にRoland
MC-505(多分)がセッティングされていて、田島本人がシーケンスのスタートやリズム・トラックのミュートを行っていたこと。確かにリアルタイムのコントロールを自分でやりたいのは分かるし、そうするべきなんでしょうが、見た目にはカッコいいものではない。マシンのスタート・ボタンに指を置きながら歌う姿というのは、正直言って今イチ。
ちなみに1曲目ではMC-505
のD-BEAMコントローラーを使っていました。プロがステージで使うのは初めて見たけど、まさか田島がねぇ…。
1年前の新潟公演は何故かやたらと盛り上がったのですが。今回は客席が寂しい。2階席はガラ空きで、1階も3分の2くらいしか埋まっていない。最近はヒット曲もないし、コアな音楽マニアからも以前のような注目を受けなくなりつつあるからねぇ。次のツアーはホールではなく、スタンディングの新潟フェイズに逆戻りかもしれない。
人気が低下して、熱心なファンだけが今は残ったらしく、アンコール後、客電がついても誰も帰らずにさらにアンコールを求めるという事態となりましたが、結局田島は出てきませんでした。あそこでギター一本抱えて出てくれば、かなり男を上げたのにねぇ。残念でした。
まぁ、演奏自体は悪くは無かった。「テクノを導入したポップス」としてのレベルはかなり高いと思うし、田島の変態的なパフォーマンスも絶好調だった。しかし、かつての田島のような切れ味の鋭さが無いんだよね。今回一番演奏に迫力があったのが、数年前の曲“Rover”と“Hum
a
Tune”で、両方ともオリジナルのままのアレンジだったというのは、やはり最近の田島の迷走ぶりを物語っているのでしょう。
かつての田島はミュージシャンとしての「創作力」とDJ・リスナーとしての「編集力」のバランスが見事だったと思うんだけど、今はそのバランスが崩れているような気がする。世界中の音楽をリスナーとして聴いてしまった後、自分の音楽をどこに向かわせるのか。確かにそれは難しい課題なんでしょうね。