UAの本格的な全国ツアーはこれが初めてなはずですが、新潟公演はソールドアウトでした。かなり一般の人(コアな音楽ファンじゃない人達ね)にも人気があるみたいですね。客席からは「UAかわいい!」という声がやたらと飛んでいました。また、MCでUAが「何を話そうか?」というと、「ダウンタウンの話!」という声が上がり、UAが「そんなのHEY! HEY!
HEY!で全部話したしなぁ」という一幕もありました。テレビの影響力とは恐いものです。きっと一般的にはUAは「天然ボケのキャラ」とでも認知されているのでしょう。確かにUAのしゃべりはユルユルでしたが。
今回の客層が次のライブでもまた来てくれるかはちょっと怪しいです。
バックバンドは8人編成。
Dr&Per 2名(1人は池畑潤二・元ルースターズ)
Bass 1名
Guitar 2名(1人は花田裕之・元ルースターズ)
Key 1名(朝本浩文・今や大物プロデューサー)
Violin 1名(HONZI・女性です)
Chorus 1名
とにかく、花田裕之のアコースティック・ギターが最高でした。普通のコード弾きでも実にグルービィ。花田のギターのリズムがバンド全体を引っ張っていました。また、リズム隊は普通のドラムセットはほとんど使わず、パーカッションがメインで、これがまたいい味を出してました。
そして、ヴァイオリンのHONZIにも注目するべき。彼女はフィッシュマンズのライブにも参加してましたが、ヴァイオリンにエフェクトをかけ、強烈なサウンドを出していました。
1拍目のキックも2拍4拍のスネアも無く、細かいパーカッションの刻みをバックにアコギがカッティングして、ノイジーなヴァイオリンやオルガンがのる、という通常のポップスとはかけ離れた演奏でした。オープニングで立ち上がった客も呆気にとられてどうすればいいか分からない、という状態でしたが、その演奏が実にUAの歌と合うんですよね。スカスカなのに混沌としてグルービィ、という不思議な演奏で、私はなぜか初期のラウンジ・リザーズを連想していました。
UAの前回のツアーはCD化されてますが、今回の演奏の方が格段に良かったです。普通にドラムが入る曲だとUAの声の細かいニュアンスが消えてしまう感じがしたので、パーカッション中心の演奏というのは大正解でしたね。
しかし、今回のメンバーには元ルースターズが2人もいますが、小沢健二や佐野元春のバックの井上富雄もそうなんですよね。ルースターズというのは結構重要なバンドだったのですね。
UAといえばクラブ系(藤原ヒロシ、朝本浩文、大沢伸一という人脈)というイメージを私は持っていて、そのため、新作の“AMETORA”には「どうも焦点がボケてるなぁ」という感じがしていたのですが、今回のライブを観て、そういうイメージは誤りだと気づきました。非常にユニークな演奏をバックに、深い表現力のあるボーカルを聴かせるUAはもはやクラブ系云々で語れる存在ではなく、日本には今まで無かった音楽を創り出していくほどの才能があると感じました。
MCでは何ともユルユルの雰囲気になっていまうUAですが、歌い出すと一気にその場の空気が引き締まるほどのボーカルでした。CDではその実力をまだ出し切っていないと言えるでしょう。今後に期待です。