ディスク・レビュー 2000年1月


artist

hot hip trampoline school

title

BRASS ROCKERS GREAT

label

feiz.inc (1999)

 6月にメジャーデビューしたhhtsの初マキシ・シングル。デビューアルバム収録の“BRASS ROCKERS”にラップ(ビブラストーンの“宇宙人”みたい)を加えた新バージョン、リー・モーガンのカバー、オリジナルの新曲、という3曲入り。
 まだまだ荒削りな演奏だけど、一体感・音の勢いは大幅アップ。ギタリスト江口広(私の学生時代の友人)のプレイも冴え渡る快作。


artist

電気グルーヴ

title

Nothing's Gonna Change

label

Ki/oon (1999)

 まるで脱退したまりんが作ったんじゃないかと思ってしまうような、スウィートでせつないメロディーをフィーチャーした新曲。最近のディスコ路線を振り払うかのように、えらく気合いの入ったリズムトラックとシンセのリフが最高にカッコいい。
 まりん脱退により、ある意味「イロモノ」2人(笑)が残った感じのする電気グルーヴですが、まさかあの2人でこのサウンドを提示してくるとは思わなかった。ジャケットのアホらしさにだまされてはいけないのだ(笑)。


artist

PRIMAL SCREAM

title

SWASTIKA EYES

label

creation (1999)

 プライマル・スクリームのケミカル・ブラザーズ・ミックスという凄い組み合わせのシングル。つーか、これケミブラの新曲だろ(笑)。
 こんなサウンドを聴かせれたら踊らずにはいられない!、という劇薬のようなカッコよさ。クラブでこれをかけるのはDJにとって反則技と言っていい。


artist

山下達郎

title

ON THE STREET CORNER 3

label

Moon (1999)

 ここまでくると、もはや重要無形文化財というか、人間国宝。いや、世界遺産。ポピュラー音楽の過去と未来を繋ぐ膨大な知識、確かな技術を持つ達郎氏には、もっと多くの作品、ライブを世に出して、若い世代に音楽の素晴らしさを引き継いでいって欲しいと切に願います。


artist

SPEED

title

Carry On my way

label

Toy's Factory (1999)

 涙のラスト・アルバム。歌詞もサウンドかなりアダルトな雰囲気。
 前作“RISE”はNYでのミックスでしたが、今回は国内でのミックスで、サウンドに少々面白味が欠けるのが残念なところ。大半が打ち込みによるバックトラックですが、“Lookin' for Love”という曲だけは、ドラム江口信夫、ベース青木智仁、ギター梶原順という新旧角松バンドのメンバーによる生演奏で、素晴らしい出来。伊秩弘将さん、僕はこんなサウンドでもっとSPEEDを聴かせてほしかったのよ・・・
 このアルバムの曲をライブで聴くことが出来ないのが実に残念。


artist

角松敏生

title

The gentle sex

label

IDEAK (2000)

 杏里や中山美穂等の女性シンガーに提供した曲を本人がカバーするという「女心を歌う」企画。中山美穂の“You're My Only Shinin' Star”を日本語詞のまま歌う(英語詞バージョンは91年に発表済み)という、角松敏生にとってのいわば最終兵器とも言える曲も収録。
 全体的にボーカルもサウンドもあっさりとした作りで、91年の“TEARS BALLAD”のような濃密な空気感を期待して聴くとちょっと拍子抜け。しかし、久々にポンタが1曲だけレコーディングに参加していて、素晴らしいドラムを聴かせてくれています。やっぱり、角松サウンドにはポンタだよなぁ。あと、小林信吾のピアノをバックに歌う“花瓶”も非常に美しい。
 ちなみにジャケットの女性は角松本人の女装らしいっすね(笑)。


artist

古内東子

title

winter star

label

Sony Records (1999)

 なぜ僕が古内東子を聴いているかというと、佐野康夫のドラムと小松秀行のベースが好きだ(笑)というのが最大の理由だったりするので、リズムの大半が打ち込みのこの新作は魅力半減なんですよねー。しかし、中西康晴のピアノが大活躍しているのが嬉しいところ。本当にこの人のピアノは素晴らしい。
 サウンドに不満を感じつつも、聴いているうちに古内東子的恋愛世界観がだんだんと心に染みてきたりもする。男の私でさえそんな気になるのだから、女の人にとっては本当に共感できる世界なのだろう。一見ありがちなラブ・ソングのようでありながら、彼女には確実に人間の真実を描く才能があると思う。


artist

山崎まさよし

title

SHEEP

label

Polydor (1999)

 本人が作曲・アレンジはもちろん、全ての楽器を演奏したというアルバム。自作自演というとハンドメイドな印象をうけますが、サウンドはかなりブラッシュ・アップされていて凝ったミックスだなと思ったら、なんとミックスはZAK氏でした。ヒップホップ的なリズムトラックやダブっぽいディレイも使っていて、ただのセルフレコーディングではない。
 スガシカオほど黒人音楽の要素はないですが、方向的にはかなり近いものがありますね。


artist

井出麻理子

title

There must be an angel

label

avex tune (1999)

 ユーリズミックスの名曲のカバー・シングル。原曲はもう15年くらい前の曲ですが、今でもテレビ・ラジオでよく耳にする超有名曲なので、カバーするにはかなりの勇気が必要だったはず。というか、反則に近い選曲だ(笑)。
 井出麻理子さんは初めて聴いたけど、伸びやかなボーカルはなかなか気持ちいい。見事なダンス・トラックに仕上がっています。
 TVドラマのテーマに使われていたみたいだけど、私はFRASCOのDJ TOKのプレイでこの曲を知りました。


artist

Catain Funk

title

Dancig In The Street

label

Sublime (1999)

 絶好調のキャプテン・ファンクのミニ・アルバム。大盛り上がり必至の極上パーティー・チューンの連発です。ギターサウンドの導入が今回の目玉ですが、R&B風ホーンセクションやゴスペル・コーラスなど、伝統的な黒人音楽のマナーを取り入れつつも現代的なグルーヴに仕上げるあたり、さすがはキャプテン。
 ワシントンGO-GOやロジャー&ZAPPが好きな人にはドンピシャ来るサウンドです。


artist

COLOR FILTER

title

I OFTEN THINK IN MUSIC

label

GOD'S POP Records (1999)

 東京のツネヨシ・リュウジ氏によるユニットのセカンド・アルバム。
 インディー・リリースとはいえ、楽曲・サウンドのクオリティは恐ろしく高い。躍動的なリズムトラック、包み込むようなハーモニー、優しいメロディーとボーカル、そして、飛び交う電子音とノイズ。私が好きな音楽の要素を全て備えていると言っても過言ではない。自分が音楽を作る意味を見失いかねないほど、僕にとってこの音楽は完璧だ。
 この作品にゲスト・ボーカルで参加しているSarah Collins というアメリカ人女性ボーカリストは、今は新潟に住んでいて、私は彼女と新しいバンドを始めるべく準備中なんですが、COLOR FILTER を超える作品を作れるのか、非常に大きなプレッシャーを感じています。


artist

BECK

title

MIDNITE VULTURES

label

GEFFEN (1999)

 さすがはベック、またまた予想外の新作をリリースしてくれました。ソウル・ファンクの要素を大胆に取り入れていますが、サンプリング世代ならではの解体・再構築感覚によるサウンドはどこかネジ曲がっていて、なんとも言えない面白さがある。表面的には黒人音楽だが、本物の黒人が作る音とは全く違う、という意味では「ニセモノ」なんだけど、その猥雑さがまたカッコいい。
 ジャケットのフリーキーさも最高。


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