ディスク・レビュー 2000年4月


artist

hot hip trampoline school

title

label

feiz Inc. (2000)

 メジャーデビューして約1年。私の学生時代のバンド仲間・江口広がギタリストとして在籍しているホット・ヒップ・トランポリン・スクールのセカンドアルバム。ホーン隊5人をフィーチャーした大編成ロックバンドです。
  前作のプロデューサーはスカパラの冷牟田氏でしたが、今回はなんとあの本田雅人。元T-スクエアというか、日本を代表するサックス奏者です。本田氏からホーンの指導を受けて合宿をしたと聞いてはいましたが、まさかプロデュースまで手掛けているとはビックリ。本田氏にとっても新境地なのではないでしょうか?
 その編成から、どうしてもスカパラを連想してしまいがちでしたが、今回は曲にもサウンドにも個性がハッキリと感じられます。大御所・新銅"V"康晃のエンジニアリングによるサウンドもダイナミック。インストだけどロック度高し!


artist

椎名林檎

title

勝訴ストリップ

label

Virgin (2000)

 勝訴ストリップって・・・(笑)。もうタイトルだけでイカされる感じ。
 発売直後は新潟市内どの店でも売り切れで、1週間くらい入手できなかったという恐るべきアルバム。コンプが目一杯かかった切迫感溢れるこの音こそ、今この瞬間の日本で鳴るべき音なのだろう。そういう意味では、10年後もスタンダードとして残るのは前作“無罪モラトリアム”の方かもしれないけど、今は“ギブス”から流れる刹那な空気を僕は愛したいと思う。


artist

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

title

CASANOVA SNAKE

label

TRIAD(2000)

 全15曲、全編イキッ放し。はっきり言って、どの曲も同じようなもんなんだ(笑)。
 前作の“SMOKIN' BILLY”や“G.W.D”のように決定的な楽曲がないのがちょっと残念なところですが、その有無を言わさぬ迫力は尋常ではない。リスペクトです。


artist

藤原ヒロシ

title

REMIXES

label

Victor (2000)

 過去3作のアルバム収録曲のリミックス集。参加リミキサーはリトル・テンポ、K.U.D.O.、川辺ヒロシなど。
 オリジナルはメロウな曲調なので、ダンスビートに作り替えたリミックスが多いですが、やはり同じダブ畑のリトル・テンポとは相性がいいらしい。女性DJとスティール・パンをフィーチャーしたトラックがとってもラブリー。


artist

marcos suzano

title

FLASH

label

Quatro (2000)

 いまやブラジル音楽界を背負って立っていると言っていいパンデイロ(タンバリンに似た打楽器)奏者、マルコス・スザーノの新作。その活躍ぶりはハンパでなく、私が買っているブラジル物のほとんどに彼のクレジットがある。
 今回は打ち込みを大幅に導入した意欲作。テクノ、ドラムンベースの影響がかなり濃い。パンデイロだけでドラムンベースのリズムを作り上げる表現力には驚かされる。その高度な演奏技術とテクノロジーへの好奇心が両立するところが、ブラジルのミュージシャンの強さですな。
 トランペットをフィーチャーしている曲が多く、「もしマイルスが生きていたら、今はこんなサウンドを作ったのでは?」と感じさせられます。


artist

ASIAN DUB FOUNDATION

title

COMMUNITY MUSIC

label

London Records (2000)

 今年のフジ・ロックへの出演も決定したADF、久々の新作。
 相変わらずパワー全開、というか、闘争心全開(笑)。“this is the national indentity parade”とか “racism and imperialism work in tandem”とか攻撃的なリリックのオンパレード。テロで殺されないようマジで気をつけてくれって感じ。
 彼らの売りは強力なリズムとボーカルだと思うけど、私はギターが結構好きなんだよね。インドとダブを同時に感じさせるその音色に惹かれます。


artist

THE THE

title

NakedSelf

label

nothing (2000)

 突然リリースされたザ・ザの新作。しかもあのナイン・インチ・ネイルズのレーベルnothingからのリリース。意外だけど、音楽性は結構合っているのかも?
 実は私がザ・ザを聴くのは“Mind Bomb”以来なので、約10年ぶりなんだけど、マット・ジョンソン、変わってないねぇ。相変わらずハゲだし(笑)。今はバンドではなく、マットのソロ・プロジェクトという感じなんですかね?
 ニューヨークで主にレコーディングしたようですが、その暗く歪んだサウンドはまさにUK産のロック。テクノやダンスミュージックに惑わされることなく、我が道を行く姿が美しい。


artist

YO LA TENGO

title

And then nothing turned itself inside-out

label

Matador Records (2000)

 このバンドについては詳しくは知らないのだけど、これは相当ヤバイ。音響系ヴェルベット・アンダーグラウンドとでも言えばいいのだろうか?
 不協和音がドローンとして底辺を流れ、ルー・リードのようにボーカルが歌う。しかし、メロディーは妙にドリーミーだったりして、分裂症気味なのに不思議となごめるサウンド。
 リリースはオルタナの総本山とも言えるマタドールから。納得です。


artist

VA

title

BANG THE DRUM 4 NEW MILLENIUM

label

Trattoria (2000)

 小山田圭吾のトラットリア・レーベルの200番記念コンピ。2枚組30曲収録で、2000円。安い!
 過去のカタログからの再録ですが、サロン・ミュージック、思い出波止場、OOIOO、とかなりコアなバンドから、カジヒデキ(笑)まで国内外から幅広いチョイス。でも不思議と統一感があるのが、トラットリアの持ち味ですね。
 限定生産らしいので、買っておいて損はないでしょう。


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