ディスク・レビュー 98年7月


artist

スガ シカオ

title

FAMILY

label

KITTY ENTERPRISES (1998)

 この人メチャクチャ才能あるね! いずれ全盛期の田島貴男を超えると思います。現時点での田島は既に超えてますが。
 曲はもちろん、詩がいい。的確で無駄のない言葉選びが気持ちいい。こういう人達をどんどん起用していくSMAPの音楽スタッフってやっぱり凄いですよね。そして、本職のギターもカッティング、ソロとも「これしかないだろ!」というフレーズが次々と飛び出してきます。さらに、実はベースも相当うまい。ベース・ラインのセンスは並ではないですよ。
 自作自演という制作方法が見事にハマっていて、グルーヴに一体感があります。特に最新シングル“ストーリー”でのメロディー・歌詞・演奏が一体となって頂点へと向かう様は圧巻! マジで感動しました。
 レコード・マニアの感性とミュージシャンとしての本能、そして確かなプログラミング技術が結実した傑作。


artist

Misia

title

Mother Father Brother Sister

label

BMGビクター (1998)

 一般人も巻き込んで超話題のミーシャ、待望のアルバム。私も何かのテレビで“つつみ込むように…”をワンフレーズだけ聴いて、慌ててレコード屋にシングル買いに行きましたよ。衝撃的なボーカルでした。久保田利伸以来の本格的なソウル・シンガーの登場です。
 ボーカルに注目が集まりがちですが、曲がいいですよね。フリー・ソウル通過後、という時代ならではの作品と言えるでしょう。ミーシャの歌自体はまだまだ若いとは思いますが、とりあえず今年最大の新人なのは間違いありません。マストです。


artist

New Power Generation

title

New Power Soul

label

NPG Records (1998)

 New Power Generation 名義とはいえ、実際はプリンスの新作です。まぁ、内容的には最近のプリンスそのままといいますか、特筆すべき点なし。プリンス・コレクターである私としては買わざるを得ませんが、一般の方々は買わなくていいです。


artist

MIYAZAWA(宮沢和史)

title

AFROSICK

label

EMI BRAZIL (1998)

 THE BOOMの宮沢和史のソロ第2弾。今回はカルリーニョス・ブラウン、レニーニ、マルコス・スザーノというブラジル音楽ファンにはたまらないメンバーをそろえての現地録音です。
 1曲目からマルコス・スザーノのパンデイロが炸裂する強烈なサウンドで、感触はレニーニのソロ作に近い。ただ、その路線の近未来ブラジルサウンドの中では、ちょっとボーカルが弱く感じられます。カルリーニョスのプロデュース作は意外にもオーソドックスな歌物で、チンバラータ系のバトゥカーダ大爆発ものを期待していた私にはちょっと期待はずれでした。
 私はブラジル盤で買いましたが、果たしてブラジルでのセールスは? そしてTHE BOOMの今後の路線は? 気になるところです。


artist

Beastie Boys

title

hello nasty

label

Grand Royal (1998)

 4年ぶりのフル・アルバムですが、さすがカッコいいっす。チベタン・フリーダム運動でクリントン政権に本気でケンカを売りつつも、こんなアホアホパワー全開の作品を作れるあたりがたまりません。
 オルタナ系の総本山となったグランド・ロイヤルの影響か、最近のビースティーにはあまりヒップホップのイメージがないんですが、アメリカの黒人ラッパーや日本のラッパー達からはどう思われているんでしょうか?


artist

CAUSTIC WINDOW

title

Compilation

label

rephlex (1998)

 リチャード・D・ジェイムス(Aphex Twin) の変名でのリリース。リフレックスからリリースされていた初期音源集で、TB303系、アンビエント系、おマヌケ系、と多様な内容ですが、“Digeridoo”の路線が好きな人は買う価値あり。最初の2曲が強烈にかっこいい。


artist

CHAOS A.D.

title

BUZZ CANER

label

rephlex (1998)

 こちらはトム・ジェンキンソン(Squarepusher) の変名でのリリース。おなじみの超絶フレットレス・ベースは入っていないので、かなりAphex Twin に近いサウンドです。実験的なデモ・トラック集という感じです。


artist

Red Snapper

title

making bones

label

WARP (1998)

 世界的にも珍しい生でドラムンベースを演奏するバンドのセカンド。結構評判いいみたいですが、私にはあまり面白いとは思えませんでした。ありがちなドラムンベースだと思いますが、ライブを観てみるとスゴいのかもしれません。


artist

exeprimental audio research

title

the koner experiment

label

MILLE PLATEAUX (1997)

 ちょっと買うべき時期をはずしてしまったので、どんな背景がある作品だったか全く分からない(笑)。その名のとおりの実験的音響派。ディレイで音をループさせつつコラージュしていくという音楽的要素は皆無な作品ですが、これが気持ちいいのです。


artist

Mitchell Froom

title

Dopamin

label

ATLANTIC (1998)

 現代ポピュラー界では最高のプロデューサーの一人と言えるミッチェル・フルームのソロ・アルバム。今までに彼と仕事をしてきたアーティストが多数参加し、当然ながらエンジニアは相棒チャド・ブレイク。
 私はこの人達のザラついた感じのサウンドが大好きです。彼らにしか出せない独自の質感があるんですよね。音楽的にもアイデア豊か。奇妙なサウンドですが、これを好きになってくれる音楽ファンがもっと増えることを祈ってます。


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