ディスク・レビュー 99年5月


artist

DREAMS COME TRUE

title

The Monster

label

東芝EMI (1999)

 前作“SING OR DIE”で、デビュー以来のプロデューサーMike Pelaの手を離れ、サウンド的にも新境地を開いた彼ら。しかし、この新作ではまた以前のサウンド・プロダクションに戻ってしまったか?
 前作で感じられたタフなリズムとファンクネスは残念ながら新作には無く、典型的なJ-POPSという感じ。吉田美和のボーカルにも突き抜けた感覚が希薄。う〜ん、かなり残念な出来でした。


artist

SPEED

title

Breakin' out to the morning

label

TOY'S FACTORY (1999)

 久しぶりにアップテンポな新曲。でも、曲としての出来はイマイチかな? カップリングの2曲がこれまた10年前のユーロビートみたいな曲で、サウンドに黒人系のノリがないのが欠点です。
 ただし、ジャケット写真のカッコよさはSPEED史上最高。


artist

U3

title

THANK YOU

label

Century Records (1999)

 宇多田ヒカルの家族グループU3のアルバムから、ヒカルのボーカル曲を抜き出したマキシシングル。なんと9歳の時のレコーディングらしい。両親が関わっているからといって、演歌(笑)なわけはなく、一応は普通の日本語ポップスと言える。
 ただねぇ・・・聴いてるとなんか背筋が寒くなるような呪術的な雰囲気なんだよね。なんか「死国から子供の亡霊が歌いかける」みたいに私には聴こえる。恐いっす。


artist

Misia

title

Believe

label

BMG JAPAN (1999)

 宇多田ヒカルの登場以降はすっかり影が薄くなってしまったMisiaですが、これはCMで大量オンエアされている新曲。あんまり宇多田ヒカルと比較するのも失礼だとは思うけれど、ボーカルのテクニックはMisiaの方があるが、「本物のソウル」という点では宇多田ヒカルに軍配が上がると思う。
 Misiaには打ち込み系よりも生のバンドサウンドの方が合うのではないかと思いますが、どうでしょうか?


artist

THE BOOM

title

No Control

label

東芝EMI (1999)

 ここ数年のブラジル路線には、宮沢和史のソロ作“AFROSICK”で決着をつけ、久しぶりに4人のバンドセットに戻っての10周年記念作。「ついにネタ切れか!?」と心配していたけれど、素晴らしい作品を作り上げてくれました。これまでの音楽遍歴の要素を自らの血肉とし、芳醇な味わいの楽曲として結実させています。
 アジア人による90年代型ロックンロールの最終型。文句無しの傑作。


artist

United Future Organization

title

Bon Voyage

label

Brownswood (1999)

 これまた大傑作。ラテン的なリズムをベースとしたまさにグローバルなサウンドに酔いしれるべし。
 アシッド・ジャズのムーブメントで現れたアーティストがほぼ消え去り、Talkin' Loudもドラムンベース系のレーベルへと生まれ変わった現在、U.F.O.のクリエイティビティは奇跡的とも言える。
 楽器を弾けないDJ3人組がこんなにも素晴らしい音楽を創作できるという事実の意味を、世間のミュージシャンは考えてみる必要があるでしょう。U.F.O.の仕事にハズレなし。


artist

東京スカパラダイスオーケストラ

title

火の玉ジャイヴ

label

AVEX TRAX (1999)

 これが青木達之のラスト・レコーディングになるのだろうか?
 この後の悲劇など微塵も感じさせない爆裂マキシ・シングル。“仁義なき戦いのテーマ”のカバーなど、異常に勢いのある演奏です。“情熱のイバラ”には話題のSILVAが参加し、ソウル度100%のこれまた凄いボーカルを聴かせてくれます。


artist

MUTE BEAT

title

R.ALPHONSO meets MUTE BEAT

label

OVERHEAT (1999)

 スカタライツのサックス、ローランド・アルフォンソと日本が誇るダブ・バンド、ミュート・ビートの共演盤。88年、渋谷クアトロのオープン・イベントでの演奏が突然復刻されました。
 最近の若い人は知らないかもしれないけど、ミュート・ビートというのは非常に重要なバンドだったのです。メンバーにはあの屋敷豪太、朝本浩文、宮崎“DMX”泉など日本のクラブミュージックのキー・パーソンが集結していたのですよ。
 私はスカタライツにはあまり思い入れはないので、申し訳ないですが、ミュートのメンバーだけで演奏しているトラックの方が気持ちよかったです。宮崎“DMX”泉のミックスも冴え渡る最高の生ダブ。


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