シンセなどの電子楽器の宿命と言えるのが、データバックアップ用の内蔵電池切れ。寿命の長い機種だと10年くらい保つ場合もあるようですが、一般的には5年程度で電池の寿命が来るようです。電池が切れると、ユーザーメモリーが全て消えるのはもちろんのこと、起動すらできなくなる場合もあります。
1993年発売のマルチエフェクターの名機、SONYHR-MP5でも、内蔵電池切れはもちろん発生します。
私が購入したのは1995年ですが、2000年に最初の電池切れが発生。突然起動しなくなったので、とりあえず楽器店に修理に出した結果、内蔵電池が交換されて帰ってきました。修理費用は確か7,000円だったと思います。
あれから7年後の2007年。起動すると「BatteryLow!」の表示が出るようになり、数日後、起動不能に。再び内蔵電池が切れてしまいました。
ネットで検索してみると、ハンダ付けさえ出来れば、自分で電池交換は可能らしい。さらに電池ケースを付ける改造をすれば、今後の電池交換が非常に楽になるとのこと。
http://www.megaegg.ne.jp/~shin-alhambra/tonntinnkanmp5.html
http://choice.jugem.cc/?eid=15
改造体験のページはいくつか発見しましたが、電気工作に慣れている人にとっては電池交換程度は当たり前の作業らしく、詳しく説明しているページはありませんでした。
というわけで、電気工作の素人による内蔵電池交換の体験記です。
今回、購入したものはこんなところです。
・ハンダこて
・ハンダ
・ハンダ吸取線
・ボタン電池CR2032
・CR2032用電池ケース
ハンダ関係は近所のホームセンターで、CR2032と電池ケースは電子パーツショップで購入しました。
この他には、ドライバーセットとセロテープは必須。使用済みのハンダ吸取線を切り取るために、ラジオペンチまたはニッパーがあれば万全です。
ちなみに、電池が完全に切れてしまった場合、普通に電源を入れても、HR-MP5は全く反応しませんが、
試してはみなかったですが、プリセットを使うだけなら、正常にエフェクターとして機能すると思います。
まずはボディーのネジをドライバーで全て外します。ネジのサイズは数種類あるので、無くさないように気をつけましょう。上側のケースを外すと、問題の内蔵電池が見えてきます。
さらに背面と底面ケースも外して、完全に解体します。
ボタン電池CR2032は基盤にプラスとマイナスの2カ所でハンダ付けされています。基盤を裏返して、熱したハンダこてでハンダを溶かし、ハンダ吸取線を使ってハンダを取り除くと、電池がとれます。
ちなみに、取り付けられていたCR2032はプラスとマイナスの端子が溶接されている「タブ付き」というタイプです。電池ケースを取り付けるのが面倒なら、同じ「タブ付きCR2032」を買ってきて、基盤にハンダ付けして取り付けるという方法もあります。
ここで問題発生。購入した電池ケースはプラス端子が2本、マイナス端子が1本あるタイプですが、基盤にはプラスとマイナスの穴が1つずつしかないので、このままでは基盤にケースを取り付けることができません。しかも、電池ケースの端子の間隔と基盤の穴の間隔も微妙に合わない。
荒っぽい対策ですが、電池ケースのプラス端子1本は反対側に折り曲げて使わないようにしました。さらにもう1本のプラスの端子部を斜めに曲げて、無理矢理基盤の穴に差し込みました。この状態でセロテープで電池ケースを仮止めし、基盤を裏返してハンダ付けします。
電池ケース取り付けが完了した時点で、まずは電源が入るか、試してみましょう。ACアダプターを繋いで、電源を入れると・・・起動しました!
しかし、プリセットのプログラムナンバーの数字が点滅し、ちょっと挙動不審。
もう一度、
ユーザーメモリーへの記憶も問題ないことを確認したら、ケースを元通りに取り付けて全て完了です。
今回の費用は、電池ケースが300円、CR2032も1個300円程度。ハンダ関係の工具は新しく買いましたが、これも合計1500円ほど。楽器店に修理に出すより、はるかに安く改造することができました。これで、5年後にまた電池が切れても、電池交換は楽チンです。
なお、機材の改造は、各人の責任で行いましょう。
(2007年7月11日)