フジ・ロック2日目も快晴。休日なので参加者の数が3日間で一番多かったですが、苗場で泊まっている人が多いためか、交通はこの日もスムース。入場ゲートやグリーンステージ内の通路は人で溢れるくらいでしたが、ステージが5カ所もある広い会場のため、行列で苦労することもなく快適に過ごせました。
昨年はシークレットアクトとして登場したので、2年連続参加のスカパラ。
今回もブランキー・ジェット・シティーのドラム中村がサポート。「去年のフジロックでは青木達之が叩いていていたんだよなぁ」と思うとしんみりとしてしまいますが、彼らはそんな湿った空気は一切なし。全力疾走のステージを見せてくれました。
でも彼らはもう10年選手で、演奏スタイルも野外フェスにはピッタリなのに、なぜ1番手なのだろう? 実力的にはホワイトステージでトリをとってもいいくらいだと思うけど。
ボアのライブを観るのは5年ぶりくらいでしたが、あまりの凄さに驚いた。人智を超えた演奏だよ。
普通のバンドやDJは緩急の波をつけながら、盛り上げていきますよね。テクノで言えば、リズムをミュートして抑えるパートがあるからこそ、リズムが戻ってきた瞬間が気持ちいい、という経験あるでしょ? しかし、ボアは違う。ひたすらイキっぱなし。「緩急」の「緩」の部分なしで、バンドも客も昇り続けていく。
前日のレイジも凄かったけど、ボアも全く負けていない。レイジは音楽によって「現実」と格闘しているが、ボアの視線の先にあるのは「現実を超えた何か」なのだろう。
「今年のテーマはダブ」だというUA。朝本浩文を中心とする凄腕のバンドを従え、複雑なアレンジとグルーヴが絡み合うユニークな演奏を聴かせてくれました。フジロックの客層からも支持を受ける日本人女性シンガーという存在は頼もしい限りですな。
ロックンロールの生き字引ともいえるキンクスのレイ・デイビス。若僧ばかりの客層に受けるのか?と思ったけど、オヤジの貫禄勝ち。自分のアコギ&ボーカルにE.ギターを一人だけ連れてのステージでしたが、見事にロックンロールを鳴り響かせていました。さすがじゃ。
曲は全然覚えていないんだけど、女性ボーカルのスキンヘッドの迫力だけは目に焼き付いている(笑)。
私は全く知らないバンドだったけど、アメリカでは相当人気あるらしい。
基本的にはギターリフを中心にしたヘビーロックなんだけど、DJがメンバーに加わっているところがミソ。スクラッチをビシビシと加え、オールドスクールのヒップホップ的な楽しさも感じられる演奏は、こういうロック・フェスにはピッタリ。モッシュ&ダイブの波は美しかった。
「Are you ready for The Chemical Brothers
?」と観客に問いかけるあたり、憎めないロック兄さんという感じ。今年のフジロックで予想外に良かったバンドNo.1。
クラブ系のアクトでは唯一グリーンステージに登場したケミブラ。クラブ・シーンとロック・シーンの両方からの支持、という意味での起用だったのだろうけど、やはり白人2人組が延々とミキサーとシンセのつまみを操るというライブは、グリーンステージではちょっとキビシかったのではないでしょうか? 特に新作の“Surrender”はロック色よりもテクノ色が強いだけに、サウンド的にもグリーンステージには合わなかったと思う。“Dig
Your Own
Hole”の頃のロッキン・ブレイクビーツな感じならよかったと思うけど。ボーカルがいるUNDERWORLDの方がグリーンステージ向きだったと思うぞ。
とはいえ、サウンドは非常に気持ちよかった。アナログ・シンセや音源が大量に積み上げられたステージから発生する音響が、数万人の客と大自然に向かって放出される空間はまさに野外レイブ。ケミブラもステージ後ろにスクリーンを設置し、ビジュアルを駆使していましたが、さすがに映像に関してはUNDERWORLDにはかなわなかった。それはまぁ仕方ないとしても、クラブ系のサウンドをロックフェスの場で鳴り響かせたライブは、ある意味画期的な出来事だったと思う。
来日直前に楽器車の盗難というトラブルに見舞われたというジョンスペですが、無事に演奏していました。テルミンもちょっとモデルは違うみたいでしたが、調達できた模様。爆発的な演奏という感じではなく、割としっかりと演奏してような感じがしたのは、楽器が借り物だったせいかもしれない(笑)。
この日泊まる湯沢の宿は門限11時だったため、残念ながらジョンスペを途中で切り上げ、グリーン・ステージのブラーを横目に見ながら帰りました。