3日間で最も客が少なかったのがこの最終日。湯沢から苗場に向かう国道沿いに日帰り客用の駐車場があるのですが、ガラガラでした。3日目だけを観に来る人はいなかったみたいですね。
入場ゲート近くの簡易トイレゾーン。 このトイレには思い出がある人も多いでしょう(笑)。 |
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グリーン・ホワイト間を流れていた小川。 冷たい清流で気持ち良かったです。 でも、ホントはKEEP OUT(笑)。 |
こういう場にフェミ・クティを呼ぶスマッシュは偉い。
ナイジェリアの今は亡き偉大な音楽家、あのフェラ・クティの息子。「Introducing Femi Anikulapo Kuti
!」というMCを聞いた時は正直目頭が熱くなった。父に比べると、フェミの音楽はより洗練されていて、クラブ的な感触さえあるが、あのアフロ・グルーヴは確実に流れていた。
若いロック・ファンはフェラ・クティを知らないかもしれないけど、とんでもない人物だったのだよ。ナイジェリアの軍事政権に対抗して、カラクタ共和国という解放区を設立。軍部、警察による襲撃、逮捕を何度も繰り返しながらも戦い続けた不屈の闘士。フェラの母、すなわちフェミの祖母は軍の襲撃で殺されているのだ。その現実と格闘する姿勢はRAGE
AGAINST THE MACHINE をはるかに上回っていたと言える。
最近話題のテクノバンド。打ち込み中心のユニットかと思っていたけど、意外にもタフなバンド演奏で、ドラマーがクリックをモニターしている様子はなかった。ダイブする客も出るくらいの盛り上がりでした。
中心人物らしきギター&ボーカルの兄ちゃんはともかくとして、キーボードとベースの美少女までもが本気でテクノ・ポップを演奏する姿は、かなり衝撃的でした。恐るべき子供達。
ドラムンベース界の鬼才ロニ・サイズの新ユニット。なんとほぼ完全な生演奏バンド。
サンプラーにアサインしたフレーズサンプルをリアルタイムで再生し、ドラムとベースはクリックなしでサンプルに同期するというスタイル。キーボーディストは構成表(兼サンプルアサイン一覧表だったと思う)を見ながらサンプルをトリガーしてましたが、シーケンサーに打ち込んでも別にいいんじゃないの?というのが私の正直な感想。
真昼の野外という彼らには似合わない環境でしたが、生演奏を見事にドラムンベースのサウンドにまとめていたエンジニアリングが見事(エンジニアはすごい美人だった)でした。
新バンドを率いて登場した清志郎。全員浴衣姿で登場するあたり、日本人のロックンロールを見せてやろうという心意気が感じられる。この後、問題となる“君が代”も演奏してくれました。
ただ「新バンドのデビューライブ」ということにこだわった演奏だったので、“雨上がりの夜空に”で盛り上がろうと期待していた観客は不完全燃焼だったかも?
長いキャリアの割には、トップ・バンドという印象はない彼ら。しかし、非常にいいバンドでした。イギリスのロックの伝統をいい形で受け継いでいる演奏で、今年のフジロックの顔ぶれの中では最もちゃんとしたロックバンドだったかもしれない。
ダブの生き神様。俺は心の中で拝んでいたよ。
かなりのジイさんのはずだけど、子供のように「この靴、カッコいいだろ!」なんてMCする姿は、はっきり言って狂人。しかしあれくらいの狂気がなければ、ダブという革命的な手法を発明はできなかったはずだ。
バンドはDr,B,G
という最小の編成で、彼らの太いリズムをバックにリー・ペリーが訳の分からないことをしゃべりまくる(あれはボーカルとは言わないだろう)というとんでもない演奏でしたが、それを見事にダブ・ミックスしていたのがマッド・プロフェッサー。観客も脳天気なレゲエファンとはひと味違うコアな人達(マリファナ吸ってる人もいた)が集まっていて、すごくいいライブでした。
終演後、軽く雨が降り出しましたが、あれは苗場の山の神様がリー・ペリーのパフォーマンスを「雨乞い」だと判断したためだろう(笑)。
意味もなくタオルを振り回すダブの神様。 どう見ても「雨乞い」にしか見えない(笑)。 |
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マッド・プロフェッサーをバックに記念撮影。 いわば、ダブ版「王様と私」(笑)。 |
トリッキーのライブなんて、去年のゴールディーみたいな打ち込みバンドでどうせショボいだろ!?と思っていたら、大間違い。大編成生バンド+打ち込みビートというスタイルで、ものすごい迫力のダンス・ビートを叩きつけてくれました。特にドラマーがスゴ腕。あんなドラマーがいたら、BREAKBEAT
ERAはもっといい演奏ができるだろう。
さらに驚いたのが、映像はおろか照明すら全く使わない真っ暗なステージ。音楽、というか音響だけで勝負できるという自信の現れなのでしょうが、実際ステージなんて見えなくても踊らずにはいられないくらい彼らの演奏は凄かった。WOWWOWがこのステージを放送できるかだけが心配(笑)。
ロクに楽器なんて弾けないはずのトリッキーがどこまでバンドのディレクションをしているのかは分かりませんが、クラブ・ミュージックの演奏、という意味では究極ともいえるライブでした。
いつの間にか再結成していたマンデイズ。が、鍵を握るのはやっぱりベズだよ。彼さえいれば全てオッケー。ひたすら観客を煽りつづけながら、ベズ・ダンスを踊る彼はまさしく音楽の化身。楽器が弾けるかどうかなんてことは、実は音楽にとって大事なことではないのだ。
90年代末の日本にベズととも一瞬だけ舞い降りた「おマンチェ」な空間。それが刹那な時間だったとしても、あのハッピーな空気を俺は一生忘れない。
まさかZZトップを生で観る日がくるとは思わなかった(笑)。今年の大トリがZZトップと知った時、大半の人は「なんでだ???」と思ったことだろう(笑)。
しかし「フェスティバル」という視点で見た時、彼らを選んだスマッシュは全く正しい。プロディジーやレイジのように生き急ぐだけがロックンロールではない。アメリカ大陸のように大きく、ゆっくりと音楽に人生を捧げるあのヒゲのオッサン達も本物のロックンロールだ。
名人芸というか伝統芸ともいえるステージングは、ラブリーにすら感じられました。楽しかった3日間を締めくくるにふさわしい楽しいステージでした。